はじめに
さて、今回はSMCのお話ではありません。
ですが、これまでのブログでSMCの基礎的なことを書いてきましたのでそろそろ本質的な話をしても良い頃かと思います。
AMTやVPFはSMCとの相性が良いので、単純なVPFだけではなく少し深掘りした内容を伝えられればと思います。
では早速…。
AMT(Auction Market Theory)とは?
相場の多くは、誰が、どこで、どれくらいの価格で取引したか?という需給のバランスで動いています。
AMT(Auction Market Theory)は、この需給をオークション(競り)の仕組みで説明する理論です。
一言で言えば、価格は、最も多くの売買が成立する場所を探して動く。
この考え方を視覚的に表現したのがVPF(Volume Profile)です。
①市場は買い手と売り手のオークションによって価格が決まります。
②最も多くの取引が行われた価格(=フェアバリュー)に価格は引き寄せられます。
③市場は常にバランス(均衡)とアンバランス(不均衡)を繰り返します。
この3つがAMTの基本的な考え方となります。
例えば、フリーマーケットで中古スマホを売るとします。
• 3万円だと誰も買わない
• 1万円だとみんな殺到する
• 2万円だとちょうどいい需要と供給が合う
この「2万円」がフェアバリューです。
これが相場でも起きており、その価格帯を探しながら動いています。
Volume Profile(VPF)とは何か?
まずはトレビューで使える無料のVPFインジケーターのリンクを貼りますね。

では、VPFの解説をば。
Volume Profileは、価格ごとの出来高を棒グラフで表示したインジケーターです。
TradingViewで表示すると、縦に積み上げられたボリュームが見えると思います。
(画像の右側の黄色と青色で描かれている棒グラフ)
ここで見るべきものは、
①High/Low Volume Nodes
取引が集中した価格帯(高)とスカスカな価格帯(低)
②POC(Point of Control)
最も出来高が多かった価格。市場参加者が最も取引した価格帯=フェアバリュー
③VA(Value Area)
POCを中心に、全出来高の約70%が集中しているゾーン
となります。
では画像を。

まずは、青色で囲まれているエリアの期間でのボリュームを表示しています。
このエリア内で1番ボリュームがあった価格が赤色のライン、PoCとなります。
そしてPoCを中心としてボリュームの70%を占めるゾーンがVAです。
右側のボリュームが少ないところは価格が走っている可能性が高く、スカスカなエリアだということがわかります。
さらに右側はボリュームデルタ、その価格帯で買いと売りのバランスを示しています。
上に表示されているボリュームは一般的な出来高で時間帯によるボリュームとなり、青色の線は出来高の移動平均線となります。
VPFで見る相場の3つの構造
では、VPFから現在の状態を判断します。

まずは画像の1番上です。
①バランス(レンジ)状態
市場が一定の範囲で横ばいであり、フェアバリュー(PoC)付近で売買が繰り返される状態です。
戦略としてPoCから外に出たら逆張り(回帰を狙う)でPoCに戻る動きを狙います。
次に画像の真ん中。
② ブレイク(不均衡)状態
出来高の少ない価格帯(Low Volume Node)を価格が突破していきます。
市場が「新しい価格帯」に移動しようとしている状態です。
戦略として、ブレイク方向に順張り、押し目や戻りを狙います。
最後に1番下の画像
③ トレンド継続
POCが更新され続け、価格が新たなバリューゾーンを形成します。
当然ですが、市場は動いているので②の状態から次の流動性へ価格が向かいその場所でボリュームが上がればPoCは移動します。
戦略としてPoC移動方向に注目してPoCが右肩上がりなら上昇トレンド、右肩下がりなら下降トレンドとみなします。
トレンド方向の新たなPoCに向けてセットアップします。
AMT×VPFで市場の心理を読む
大袈裟に書きましたが見出しのタイトルが思いつかなかっただけです。
ですが、オークションマーケット理論とVPFを理解すると、
- なぜそこから反発したのか?なぜそこが意識されるのか?という問いに答えが見えてきます。
市場は常に「公正価格」を探しています。
VPFはそのプロセスを視覚化するツールとなります。
PoC・VA・LVN/HVNを組み合わせてシナリオを描くことができます。
トレードで意識するべきこと
VPFは「未来を予測するツール」ではなく「現在地を理解する地図」だと考えてください。
価格ではなく“出来高の集まり”を見るようにします。
そして、PoCの位置が変わるかどうかでトレンドかバランスかを判断してください。
SMC的な使い方
さて、ようやく書きたい所まできました。
ここまでの説明でボリュームのある所がOrderBlockで少ない所はFVGになっている可能性が高いことはわかると思います。
ボリュームデルタで買いが強かった場所は、売りをぶつけるのに最高の場所となります。
同じようにボリュームの少ない場所は価格が走っていますのでデルタに偏りがあります。
このような場所では反転の可能性が高まるので、ERL🔄IRLのターゲットとして見ることができます。
次に、VPFの期間をSessionごとに変えていきます。
各Sessionでは参加者が異なるために傾向が変わってきます。
同じように分析しても上手くいかないのはこのためです。
まずはSessionごとの大まかな特徴を書いていきます。
最近はAsiaで暴れることが多いですが…。
アジア(東京) | 個人・銀行 | レンジ傾向・静か |
ロンドン | 欧州系機関 | トレンド発生の起点 |
ニューヨーク | 米国勢 | ボラティリティ急上昇 |
大雑把にはこんな感じです。
それぞれのセッション内で形成されたVA(VolumeArea)は、そのセッション内の「公平な価格帯」を示しています。
これにより、次のセッションでどう動くか?の判断材料になります。
ここではVAでのHigh/Low(va)を重要視します
セッションごとのVAが意味を持つ理由としては、
① ロンドンVAのブレイク → トレンドの起点に
ロンドン時間に形成されたVAをNY時間でブレイクすると、その方向に大きく動くことが多いです。
トレンドフォロー戦略に活用可能です。
② NY時間での「VAリジェクト(拒否)」
NYセッションで前セッションのVAHやVALにタッチしたが戻された場合、反対方向への急変が起きやすいです。
逆張り反発戦略が機能しやすくなります。
③ VA内滞在 or ローテーション → トレード控え
価格がVA内に留まって動かないときは「バランス相場(レンジ)」と見なし、無理にエントリーしない判断ができます。
使い方としては、例えば…
- 東京VAが形成 → ロンドンでブレイクしてトレンド開始
- NY時間にロンドンVAHを試す → 反落 → 再びフェアバリューへ回帰
- とか、
- 東京VAHをロンドン時間で上抜け→ロンドン時間内に東京VAHを下抜け(Sweep)→東京VALを目指す。
- NY時間でロンドンVALを下抜け→ロンドンVALをRetest→反転、下落
- など、いろいろな組み合わせがあります。
SessionごとのVAH/VALを利用して戦略を組み立て
チェック項目 | トレードのヒント |
ロンドンVAの上限・下限 | ブレイク時、もしくはRetest時にエントリー |
NY時間でのVAリジェクト | 逆張りのシグナルに |
同じVAで複数セッションが停滞 | フェアバリューとして重要視 |
応用編
- VAを “セッションごとのPD Array”(SMCでの概念) として捉えます。
- VAHやVALを 流動性の溜まり場(Liquidity Pool) として見ていきます。
- 複数VAの重なりで 高精度な反発ポイントを構築と捉えます。
VAは「価格の重心」、Sessionは「時間の重心」
セッションごとのVAを分析することで、時間帯ごとの市場心理を読み取ることができます。
トレンドが始まる場所、終わる場所を予測するうえで、セッションVAは地図になるのです。
さいごに
今回の記事ではSMCから少し離れましたが、チャートは公正価格へと向かうということ。
公正価格が上がっていくなら上昇トレンド、逆なら下降トレンド、変わらなければレンジだという環境認識。
Sessionごとにオークションへの参加者が変わるので傾向と対策を覚える、もしくは考える。
みたいなことを書きたかったのです。
画像をもう少し入れて見やすくしたかったのですが、文書とピタリと合うチャートを見つけるのが大変でして…勘弁してください。
では、今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。
ごきげんよう( ´ ▽ ` )ノ
…いいね、押してね。喜ぶから。
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